落語の世界をなめこで表現する最新作『なめこ寄席』が好評発売中!
▼この表紙が目印!
なめぱら班は作者である上地先生に直撃インタビューを実施!
なめぱらを代表する白い豚・M本を交えてスペシャルインタビューをお届けします♪
左:M本(白トリュフなめこ) 右:上地優歩先生
インタビューの<前編>はこちらからどうぞ!
https://namepara.com/info/special/180511_190000.html
<質問3>各作品ごとの見どころを教えて!
M本:ここからは各作品の見どころをお聞きしていきましょう!
M本:まずは『時そば』からお願いします。
上地:『時そば』はお金勘定のシーンを絵本風に描くよう頑張りました。お金をちょろまかす場面は私も耳で聞くだけではわかりづらかったので、絵で表現する際には意味が伝わるように、そして可愛く描けたらいいな、と思っていたので。
M本:なるほど。確かに『時そば』ではお金を数えるシーンが銅貨を使って丁寧に描かれていました。
だから数字に疎い私でも1回で内容を理解できたんですね...納得。
▼コミカルに描かれているお金を数えるシーンは必見!
M本:それでは続いて『死神』はいかがですか。
上地:私自身、この物語を聞いたときは衝撃でした。というのも"落語=オチの効いた笑い話"だと思っていたので、ホラーも表現する落語の幅広さに驚いたんです。最初はチャーミングですらあった死神が、最後は本当に怖いんですよ。
読み手の方々にもあの感覚を味わって欲しかったので、危機迫るインパクトを再現できるよう演出や細やかな表情にこだわりました。なめこは基本の造形を崩せないから、顔のシワや影の入れ方、コマ割りを工夫しています。
▼ラストシーンは「死がそこに佇んでいる」という恐怖の表情を浮かべる死神。
M本:この『死神』という作品はオチにパターンがいくつかあるそうですが、その中でもこのオチを選んだ理由は。
上地:この1冊の中に様々なパターンの落語を入れたいと思っていて、今回『死神』はホラー要員ということに決めていました。
また、私のように落語のイメージを変えるきっかけになって欲しいという意味も込めています。
M本:なるほど〜! とすると、次の『厩火事』はどのような位置付けになるのでしょうか。
上地:これは唯一の女性主人公で、江戸時代のことを調べてみると意外に職を持つキャリアウーマンが多く、現代と親和性を感じましたので選びました。
M本:確かに現代女性にも通じるものがありますよね...!
上地:これはひたすらおバカな話なので(笑)コミカルな少女漫画をイメージした表現を心がけました。
コマの背景にブワッと花が咲いていたりですとか。
個人的に気に入っているのは、唐土の例え話で白馬に扮する「雪だるまなめこ」が火事でバケツだけになっているところです。
M本:本当だ!芸が細かい...!!
▼白馬は火事で燃えてしまうのです。
上地:次話の『短命』は全話の中で一番シンプルでわかりやすく、役割としてはお色気要素といいますか(笑)女の色気に酔ってしまった男達と、それをわかっていない主人公がマヌケで可愛いというストーリーですよね。
個人的におおなめこが好きなので、可愛くなるように意識しました。
M本:こちらは奥さん役である「火焔なめこ」のインパクトがすごいですね。
上地:「火焔なめこ」にはひどいことしちゃってますけど(笑)
奥さんのおかげで長命なのだから、どちらをとっても救いはありますよね。
M本:「文七元結」は"人情もの"といったところでしょうか。
上地:そうですね。この作品は様々な"江戸っぽさ"が凝縮されている物語なんですか、普通に描くとシリアス度が高くなってしまうので、コミカル要素を増やして読みやすくしました。
M本:例えばどういったところですか。
上地:夫婦喧嘩のシーンは古典的な漫画表現でポカスカしていたり、吉原に行く主人公は無駄に踊っていたり。文七を助ける主人公もただキャッチするだけでなく「長なめこ」の長い胴体を生かしてびゅんびゅんしていたりですとか(笑)
シリアスな中にもツッコミ要素というか、思わず笑える要素を取り入れたつもりです。
M本:お金の入れ物になっていた「ふくろなめこ」も面白かったです。
上地:真面目な話が続くので、遊びを入れたくて場面に合わせて「ふくろなめこ」の表情を変えています。
押し付けあって顔が潰れていたりするので、見てみてください(笑)。
▼遊び心の詰まった「ふくろなめこ」にも注目!
M本:それでは最後に『火焔太鼓』はどうでしょうか。
上地:先ほど言った「シンバルなめこ」のラストシーンが、一番工夫したところですね。
あとは主人公ののったりとした性格が出るように表現したつもりです。お金を数えるシーンで息遣いが荒くなっている場面とか(笑)
▼主人公のお調子者でマイペースな性格が表現されています。
上地:あと、夫婦間の関係性が話し手さんによって違いまして、完全に尻に敷かれている主人公の場合もあれば、憎まれ口を叩きつつも仲のよい2人の場合もあり、今回は個人的な好みで後者の方でいかせていただきました。
M本:なるほど、同じ話でも何度も楽しめるのが落語なんですね。
<質問4>落語全体で特に好きな作品・今後なめこで表現してみたい作品は?
M本:先に特に好きな落語の演目を教えてください。
上地:収録されている作品はどれも好きなものを選ばせていただきました。
今回収録されていない作品では「居残り佐平次」が好きですね。
「吉原」を舞台に繰り広げられる愉快なお話です。
M本:ぜひ今後収録されることを願うばかりです...!
M本:では、今後描いてみたい作品はありますか。
上地:なめこで表現してみたいと思うのは「頭山」という演目ですね。
これはさくらんぼを種ごと食べた男の頭から桜が生えてしまうお話でして、人間だと訳がわからないお話なんですが、なめこではシュールに表現できるのではないかと(笑)
M本:それはもう、第2弾の「なめこ寄席」をはよ...!
▼早くも続編が待ちきれない様子。
M本:それでは、これで以上になります。
M本:上地先生、ありがとうございました!
上地:ありがとうございました〜!
【作品情報】
「なめこ寄席 なめこでわかる江戸落語」
作者:上地 優歩
作品:全6話
価格:630円(税抜)
発売場所:全国の書店 / なめこ市場 東京本店 / Amazon、楽天ブックス、7net、TSUTAYA など