これは「なめこの原木栽培オーナーに、俺はなる!」と世界の中心(港区高輪)でなめこ愛を叫んだダンボールなめこを追う実録ドキュメンタリーである。
(過去記事)
#1 どうしようもない僕になめこの原木栽培オーナーになる道が降りてきた(前編)
#2 どうしようもない僕になめこの原木栽培オーナーになる道が降りてきた(後編)
#3 どうしようもない僕がなめこの原木栽培オーナーになった日
#4 会社の金で下呂温泉に行くことを夢見るどうしようもない僕
#5 なめこの国から'19夏「んふんふ(夏以外の画像もあります)」
#6 栽培家直伝!「原木なめこ」の下ごしらえと美味しい食べ方
ーーーー
静まり返ったオフィスで、独り脳内リモートワークに勤しんでいるダンボールなめこの背後になめこが忍び寄ってきました。
「んふんふー(ダンなめさん宛てにお届け物でーす)」
「おっサンキュー」
「誰からだろ・・・」
「んふっ、んふんふ!(あっ、見てみて!)」
「品名:なめこ(食べられません)・・・??」
「んふんふ〜?(食べられないなめこってなんだろ〜?)」わくわく
(いま目の前にいるけどね)
がさがさ
がさがさ&
「あああ!!」「んふんふ!!」
「んふ・・・んふんふ!!(お・・・お兄ちゃん!!)」
「んふんふっ!!(よっ、ひさしぶり!!)」
「んふんふ〜(もう帰ってこないのかと思ってたよ〜)」ぐすん
「おーよちよち」
「んふんふ!(連絡ができなくてごめんな!)」
「んふんふ(今年の原木栽培の準備がひと段落して、ようやく雪も積もって作業の区切りがついたんで戻ってこれたんだよ)」
「んふんふ!(そうだったんだ!)」
「んふんふ!(原木なめこの収穫のお話聞かせてよ!)」
「俺も聞きたい!」
「んふんふ〜(そうだな〜)」
「んふんふ(去年は天候不順と台風で原木を置いてある場所もダメージを受けたんだけど)」
「んふんふ(みんなで力を合わせてなんとか乗り切ったんだ)」
「んふんふ(杉の木が倒れたり、風で飛ばされた落ち葉が原木置き場にたまったり、片付けるのが大変だったよ)」
「んふんふ(今年の収穫時期は例年より雨が多かったらしいんだけど、収穫間近のナメコがダメにならないようにすごく気をつかったんだ)」
「んふんふ(ナメコの原木栽培は、本来適度な湿度を保つために原木は地面に寝かせるように置いたほうがいいんだけど)」
「んふんふ(雨が降るとナメコに泥が跳ねたり落ち葉がついたりして商品価値が落ちちゃうから、そうならないように立木に立てかけたりしてね)」
「一年かけて育てたナメコが台無しになるかもって怖いよなぁ・・・」
「んふんふ・・・(原木ってすごく重いから大変そう・・・)
「んふんふ(それでも結局去年の収穫量は一昨年よりも1割少なかったみたい)」
「んふんふ(パック詰めにもコツがあって、量が同じになるように重さを測りながら入れていくんだ)」
「んふんふ(原木ナメコは収穫前の雨量で重さや見た目が変わっちゃうくらい繊細で、ちょうどいい雨量だと艶があってよりおいしそうな見た目になるんだけど、雨が多すぎると水分量が多く痛みやすいナメコになったりするんだよ)」
「んふんふ〜(じゃあ今年は台風が来たり収穫直前に雨が降ったりした中で、本当に苦労して収穫してくれたんだね〜)」
「おいしいナメコの裏にはそんな話が隠れていたのか・・・」
「んふんふ(収穫が終わったらすぐ来年に向けての準備が始まったよ)」
「んふんふ(これは山に入って原木を伐採する準備をしているところ)」
「んふんふ(春が来ると原木を伐採してナメコの菌を打つんだけど、雪が降る前にどこの木を伐採するのがいいか目星をつけておくんだ)」
「んふんふ(菌打ちは山ではなくて里の作業場でやるから、運搬車を通すための道も作ったりするんだよ)」
「んふんふー(一年中ずーっとナメコのお世話をしてくれてるんだねー)」
「当たり前なのかもしれないけど、原木栽培って"原木を伐採するところ"から始まるのか・・・」
「んふんふ(なんなら"原木を伐採する道をつくるところ"からやってるもんね)
「んふんふ(あらためて原木ナメコ栽培が人と山との共生によって成り立ってるってことがわかったよ)」
「いやーいい話聞けたわ!!」
「ところでキノコの話をしてたらなんだかお腹が減ってきたな!!」
「んふんふ〜(なめこもお腹ぺこぺこ〜)」
「それなら兄帰還のお祝いも兼ねて(お猪口を傾ける仕草をしながら)いっちゃう!?」クイッ
「んふ、んふんふ〜(アラ、いいですね〜)」
「んふんふ(うれしいこと言ってくれるじゃないの)」
「よーし、そんじゃあ今夜はキノコ鍋パーティーと洒落込みますか!!」
「んふんふ!!(大賛成!!)」
「んふんふー!!(久しぶりに飲むぞー!!)」
&
&
「んふんふー!!(おー!!)」
ーーーーーーーーーー
「原木ナメコを育てたい」・・・そんなダンボールなめこの夢から始まった物語は、ここでひとまず幕を閉じます。
しかし、きっと今年の秋も原木ナメコは森の中に黄金色の絨毯を敷き詰めてくれることでしょう。
もしみなさんが原木ナメコを手に取る機会があれば、なめこ兄の言葉を思い出して人と山の営みに想いを馳せてもらえたら嬉しいです。
【完】
(過去記事)
#1 どうしようもない僕になめこの原木栽培オーナーになる道が降りてきた(前編)
#2 どうしようもない僕になめこの原木栽培オーナーになる道が降りてきた(後編)
#3 どうしようもない僕がなめこの原木栽培オーナーになった日
#4 会社の金で下呂温泉に行くことを夢見るどうしようもない僕
#5 なめこの国から'19夏「んふんふ(夏以外の画像もあります)」