2014.3.31
描きおろしは『人間失格』など!なめこで名作を読む漫画「なめこ文學全集」第4巻本日発売!!
「なめこ文學全集」第4巻、本日発売!!
「なめこが文学を楽しくします。」を合い言葉に、珠玉の名作文学をなめこで読む漫画「なめこ文學全集」待望の第4巻が本日3月31日に発売されました。
なめぱらでは今回もコミカライズを担当する小鳩まり先生に直撃インタビューを敢行。
できたてホヤホヤの第4巻を手に、見どころや制作秘話をうかがっちゃいましたよ♪
それではさっそくインタビューを大公開...といきたいところですが、まずはその第4巻の中身をご紹介します!!
第4巻には「コミックスピカ」に掲載された5作品のほか、描きおろし3作品を追加し全8作品を収録。
誰もが一度は読んだことがある作品から、名前はよく聞くけど実は読んだことがないような作品までバラエティー豊かに取り揃えました。
◆「なめこ文學全集」第4巻収録作品
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宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
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関連記事:【なめこ漫画化】連載第19回『銀河鉄道の夜』
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【描きおろし】新美南吉『手袋を買いに』
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【描きおろし】太宰治『人間失格』
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上田秋成『雨月物語 夢応の鯉魚』
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関連記事:【なめこ漫画化】連載第20回『雨月物語 夢応の鯉魚』
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【描きおろし】夏目漱石『吾輩は猫である』
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島崎藤村『初恋』
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関連記事:『なめこ文學全集』第3巻発売記念!小鳩まり先生特別インタビュー(前編)
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小川未明『野ばら』
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関連記事:【なめこ漫画化】連載第17回『野ばら』
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菊池寛『恩讐の彼方に』
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関連記事:【なめこ漫画化】連載第18回「恩讐の彼方に」
...いかがでしょうか。
インタビュー内容をお読みいただく前に言うのもなんですが、今回も描きおろしがヤバいです。
特に『手袋を買いに』『人間失格』は個人的に演出、キャスティングの面で「なめこ文學全集」の集大成的作品になっていると思いましたよ。
そんな第4巻のお話を小鳩先生にじっくり聞いてみましたので、ぜひ「なめこ文學全集」片手にインタビューもご覧ください!!
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「なめこ文學全集」第4巻発売記念インタビュー
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聞き手:ダンボールなめこ
話し手:小鳩まり先生
合いの手:担当編集(べ)氏
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▼自称漫画読みダンボールなめこ(左)と小鳩まり先生(右)
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◆ネームで考えることが増えた
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--まずは第4巻発売おめでとうございます!
ありがとうございます。
--今回はかなり難産だった作品もあったように感じるのですが、全体をとおしていかがでしたか
難産でしたね〜(笑)
ネーム(※1)段階で考えることが増えたからでしょうか。
(※1)漫画のコマ割りやセリフを決める下書きのこと。
--なめこの種類が増えて配役に悩んだり
いいえ、キャラクターというよりはストーリーの方ですね。
原作に書かれている文章の意味を考えたり、無意識だと思いますが切りたくない場面、切るにはもったいない場面が増えてきて、それでまとめるのに時間がかかるようになってきてます。
--連載開始時とは見るポイントが変わってきたんでしょうか
そうなんですかね(笑)
--今回の8作品の中で特にネームで悩んだのは
じつはあんまり...記憶がないんです(笑)
そのときそのときでは作品のことを考えているんですが、そのかわり自分の中で納得いくまで考えてまとめているから覚えていないのかもしれません。
ひとつ終わったら前の作品はもう置いといて...また次の作品のことを考えなくてはいけないですし。
今回の収録作品の中だと『銀河鉄道の夜』はいっぱいエピソードがあるんですけど、いっぱい切ったなーって。
『銀河鉄道』がお好きな方が読むと、「あ〜ここ切っちゃったんだ」って思う方もいるかもしれません。
▼実際のシーンを読み比べながらインタビュー
(べ)シーンのピックアップはどう決めてるんですか
単純に言えば、「ストーリーがつながるように」です。
いくら個々のエピソードがおもしろくても、断片的なエピソードの集合ではつじつまが合わなくなってしまうので。
最初に考えるのはその「ストーリーのつながり」で、その次におもしろいエピソードや気に入っているシーンを入れていくという感じです。
気をつけているのは「あらすじだけど、あらすじに見えないようにする」ことです。
--どういうことですか
文章であらすじを読んだのと同じになってしまうのは避けたいなと。
短いエピソードをただ並べてしまうと、単なるあらすじになってしまうんです。
たとえ短くても読者が感情を乗せられるように、共感を得られるように(漫画ならではの)工夫をしています。
普通のストーリー漫画を読んでいるのと同じような感覚を味わってほしいですね。
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◆描きおろし作品について
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--続いて描きおろし作品について聞いていきたいと思います
第4巻収録作品の中で原作が一番長いのが『吾輩は猫である』なんです。もうダントツ。
それこそ短いエピソードがたくさんどこまでも続くんですが、突然さいごに○○。(ネタバレのため伏せ字)
出だしを知っている人は多いけど、終わりを知らない人は多いですよね。
▼日本人なら誰もが知っている(はず)。ただしここしか知らない。
(べ)「タイトルは知っているけど、中身は知らない作品を読んでもらう」という「なめこ文學全集」のコンセプトにぴったりの作品です。
それでまあ、○○○飲んで、酔っぱらって、○○に落ちて○○れて、最後は○○わけなんですが、「かわいそうだろうが!誰か助けてやれよ!」と独り言を言いながらそのシーンを書いてました。
--衝撃的といえば『手袋を買いに』のキャスティングもすごかった
ビジュアルのインパクトがすごいですよね!
この作品はそれありきで進めました。キーワードは「キツネ」と「手」。
すでに『ごんぎつね』をやっているのに、またキツネって...と思っていたので。
「玉藻の前」様様です(笑)
--なめこ版『手袋を買いに』はユニークな世界観ですよね。NHKの人形劇を見ているような感覚でした。
実は『手袋を買いに』は表情を出さないキャラクターばかりで構成していまして。
--(ページを開いて)たしかに(笑)
それはそれでおもしろいかなと。
絵本のような雰囲気にできればと考えて描きました。
あとはどうやって「人間の手」をなめこで表現するかだったんですが...。
--それは読んでからのお楽しみということで。
はい(笑)
--『人間失格』は個人的に思い入れが深いのでインタビューの最後にお聞きするとして、話題を変えましょう。
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◆レアなめこをどの役で登場させるのか
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--なめこのキャラクターデザインが「初代」「Seasons」「Deluxe」と次第に複雑になってきていると思うのですが、影響はありませんか
複雑なキャラは、モブ(※2)には使いにくいですし出しどころは限られるんですが、そのかわりハマるとすごいです。
(※2)背景に描かれる人物。名前のないその他大勢。
例えば『野ばら』の青年兵士には鎧を着せたくて、スペードなめこを使うのはここだ!って感じでした。
自分の中でキュンとくる使いどころです。
▼キュンときたスペードなめこ
--スペードなめこを元々使いたかったんですか
(どのなめこも同じように)みんな使いたいと基本的には思っているんです。
『野ばら』の場合は、読んでのイメージとぴったりだったのがスペードなめこだったというだけで。
--配役は読みながら決めるんですか
読み終えてから決めることもあるけど、読みながら決めることもあります。
ちなみに『銀河鉄道の夜』は読み終わってから決めました。
--それはなぜ
カムパネルラに合う子がいなかったからです。
カムパネルラはジョバンニより背が高い設定なので、長なめこやつくしなめこを候補にしてみたんです。
でもキャラ表をずーっと眺めながら、「見た目がなめことかぶる」とか性格とか色々考えて...。
--それでツノなめこ
「角の分だけ背が高い」かなって(笑)
あと、カットしてしまったシーンなんですが、冒頭で先生に当てられてモジモジするところも角をさわらせて表現できると思って決めました。
▼こっち見んな
--アプリの中でも角をさわってますからね
できるだけ図鑑や生えてきたときのポージングをどこかに入れたいと思ってるんです。
『雨月物語 夢応の鯉魚』では大王イカなめこが手をつないでいるコマがあるんですが、これ原木に生え揃ったときに手をつないでるように見えるからなんです。
友達がそのスクリーンショットを見せてくれて、「これ漫画の中でやる!」と宣言して入れました。
▼海の幸大集合
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◆甘酸っぱい恋と男の友情
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--第4巻では変わり種として詩にも挑戦しました
詩を先に全部書いてしまうか、モノローグで分けて作中に書いていこうか考えて、結局後者を選びました。
詩のリズムを崩さないように、絵も含めて流れるように読んでもらえるように。
あとはリンゴの表情。
「甘酸っぱくて見てらんねーよ><」という感じです。
▼大リンゴなめこと申します
--恋の詩と一転して『恩讐の彼方に』は哲学的な内容です
主人公は仇として追われている身なんですが、『宝を見つけて人間に追われている』というレプラなめコーンの設定がぴったり。
『野ばら』もそうなんですが、ストーリーがすごくかっこいいなって思います。
こういうお話が純粋に好きなんですよー。
『五重塔』(第2巻収録)も男の友情を描いて女性に人気があったんですが、『恩讐の彼方に』も女性にこそ人気がありそうな気がします。
あと、「なめこ文學全集」ではなめこ先輩が割とスケコマシ的な役回りが多かったんですが、やっとかっこいい役をつけられてよかったです。
段々汚れていくボールにも注目してください。
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◆なめこの『人間失格』
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--それではいよいよ『人間失格』についてうかがいます
作品内に絵画が出てくるんですが、それもなめこで表現しました。
ゴッホはヒゲを生やしているからキウイなめこにして、モディリアーニ(※3)の絵は女性っぽく...(笑)
(※3)作中ではモジリアニ。エコール・ド・パリの画家で肖像画や裸婦画を多く描いた。
--「竹一のお世辞が悪魔の予言だった」と述懐しているコマに百合を描かれていますね
「悪魔の予言」というのは、主人公の葉蔵が女性関係で苦労をするという意味なんですが、百合でその女性を表現したかったんです。
香りや見た目の姿、かわいらしいお花ではなくて「百合」。
▼ゆるくない百合
--「人間失格」で印象的なシーンといえば「タバコ屋のヨシちゃん」
春ちゃん(春なめこ)とイチゴなめこで迷ったんですが...最終的にイチゴのピュアなイメージ、あとは「初恋の味」という図鑑の説明で決めました。
『少女地獄』(第2巻収録)の印象は強いだろうなとも思ったんですが、敢えて配役しました。
▼無垢の信頼心は罪なりや?
--おばけ白なめこがまたまた険しい顔をしてますよね(笑)
なめこにしては大柄で腕が太い珍しいキャラなので、威厳のあるキャラがほしいときに出てきてしまって自然とそうなっちゃうんです...。
『恩讐の彼方に』のなめこ先輩みたいに、いつかキャラ変させてあげたいですね。
--そして葉蔵の陰鬱な雰囲気になめこもりはぴったりです。その後の「幸福も不幸もなくなった葉蔵」までの変化も含めて感服しました。
(べ)最後のシーンで葉蔵は27歳、ダンなめさんと同い年です。
--27歳でこれは相当ですよね(笑)
▼ダンボールなめこ(27)、趣味:漫画
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◆「なめこ文學」は日本から世界へ
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--ここまで第4巻に関する質問だったのですが、ここからは今後の展開についてうかがっていきます
--4月28日発売の「コミックスピカ」から「なめこ文學全集」が世界文学編に突入という噂は本当ですか
はい、世界文学編第1弾はアンデルセン『雪の女王』です。
--なんとタイムリーな...
企画段階では映画の話は全く知らなくて、たまたまかぶってしまったんですけどね。
(ここから担当編集(べ)氏のターン)
(べ)アンデルセンはデンマークの作家ですが、もちろん色々な国の作品を扱っていきます。
(べ)なめこの本職は探偵助手なので推理物を是非やりたいです。
(べ)海外文学はどうしても長編が多いので、「なめこ文學全集」に合わせやすい児童文学や童話が多くなりそうですが、その中でも歯ごたえのある作品選びにはこだわっていきます。
(べ)ヨーロッパ、アメリカ、中国...あんまり知られていないけどおもしろい作品をピックアップしていきます。
--おお!世界文学編も盛りだくさんですね!
.........がんばります。
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◆ローソンではオリジナルカバー付きも
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--インタビューは以上ですが、最後にひとこと!
4巻は有名なお話が多いですし、すごく読みやすいと思います。
特に『野ばら』は知る人ぞ知る名作なので、ぜひ読んでほしいと思います!
すごくおすすめです!!
▼おや?小鳩先生の右手に見えるのは...
(べ)『野ばら』は幻冬舎コミックスのサイトで無料で読めますよ〜
「なめこ文學全集」特設サイト|幻冬舎コミックス
(第1巻〜第4巻まで各巻1話ずつ公開中です)
それと、ローソンさんでは描きおろしのオリジナルカバーがついてくるキャンペーンもやっています。
よろしければそちらも見つけてみてください♪
おおなめこは文學全集を立ち読みしていて、枯れなめこは水分補給をしています(笑)
▼ローソン限定版では通常カバー(左)と描きおろしカバー(右)の2枚組になっています
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